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2019/06/28

力枝(ちからえだ)

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 我田引水だが、大学三年になる倅を評して我が妹が「お兄ちゃんの子とは思えないほどいい子」と言ってくれた。褒めているんだか、皮肉っているんだかわからない言いようだけど、親として悪い気はしない。妹には、「森の木を育てるようにしてたらああなった」と答えた。
「その心は?」と問い返されることを期待してそう言ったのだが、妹の奴それをしてくれない。持って行き場の無い気分をここで解消させていただくことをご容赦いただきたい。
一、剪定をしないこと
二、360度どの方向にも力枝を伸ばせるように、周りを空かしてやること

 
 昔、山仕事の修業時代、親方が「双葉を出した実生を見たら、将来どんな木になるかわかる」としきりに言っていた。当時は眉唾で聞いていたのだけど、その後、自分で山仕事を請け負ってやるようになってふと、もしかしたら、将来どちらの方向に力枝を出したがっているか種子のうちから決まっているんじゃないかと思ったことがある。若木が力枝を伸ばそうとした方向にちょうどいい空間がたまたまあるかどうかが、その後その木が大径木になれるか否かを分けているんじゃないかと。何を見てそう感じたのかすっかり忘れてしまっているのだが、ともかく親方にはそれが双葉のうちから見えていたのじゃないかと思ったのだ。無論科学的根拠などみじんもない。親方からはよく「おめえは学者だなあ」と、こちらは100%皮肉で言われていたのだけど、皮肉られている僕はというと、皆やたらと有難がる「科学的」なるものが実は、親方みたいな眼力を持たない普通の人間にも、何とか平均点以上の仕事をさせるためにあるんだという風に思い始めていた。

 僕は大学を出ていないが、その代わり森からいろんなことを教わった。木育ても、子育ても。
(投稿者:福田)


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