blog 森のひろば  >> 記事詳細

2019/06/10

旧線路通りのイヌエジュ

Tweet ThisSend to Facebook | by info
 事務所が出島にあったころ、近くになんとはなく愛着を感じる通りがあって、時々散歩したりしていた。その昔港からの物資を運ぶ列車の通る線路があったそうで、両側は倉庫が立ち並ぶ硬質な雰囲気であったという。今は、出島ワーフのしゃれた通りとオフィスや商業施設の立ち並ぶ大通りにはさまれて、どこか別世界の趣がある。元船遊歩道という名前もあるみたいだが、このあたりで生まれ育ったセンター長は線路通りと呼んでいた。
     
 通りに植えられている木々の不統一感が面白い。この場所の変遷をそのまま映し出しているのかもしれない。長崎駅から通りに入ってすぐに、エンジュの木が10本ほど並んでいる。アカシア並木というには、樹高も本数もこじんまりしているし、そもそも通りのど真ん中に並んで立っていてこれを並木というか疑問だが、雰囲気はある。その中にどうしたわけだか一本だけイヌエンジュが立っている。植えられるときに苗木の中に紛れ込んだのだろう。イヌビワ、イヌマキなどイヌをまくらに持つ樹種はいくつもあるが、どれもこれも本家から一段落ちるという意味を込めた一種の蔑称である。にもかかわらず、この一本の立ち姿は実に堂々としていて、「おれの名前も、おれがここにいるのも俺のせいじゃねえ」と言っているように感じられる。この一本に抱いた親近感が、通り全体に持つようになった愛着の始まりであったかもしれない。
(筆者:福田)
  

10:47 | 投票する | 投票数(1) | コメント(0)